2024年度年末調整の変更点
2024年度の税制改正の中心は定額減税ですが、年末調整としては他にも変更点があります。
定額減税を含む、2024年度年末調整の変更点は下記の5点です。
- 定額減税
- 国外居住親族への送金関係書類の範囲追加
- 扶養控除申告書の提出簡略化
- 保険料控除申告書の提出簡略化
- 住宅ローン控除の適用に係る手続きの変更
今回の記事では5点目の住宅ローン控除の適用に係る手続きの変更について説明していきます。
住宅ローン控除の適用に係る手続きの変更
令和4年度税制改正において、住宅ローン控除の適用に係る手続について、これまでの年末残高証明書を用いる「証明書方式」から、年末残高調書を用いる「調書方式」とする改正が行われました。
証明書方式と調書方式
そもそも、証明書方式と調書方式では何が違うのでしょうか。国税庁HPではそれぞれ下記のように説明されています。
- 証明書方式:住宅ローン控除の適用を受ける納税者の方が、住宅ローン債権者(以下「債権者」といいます。)である金融機関等から交付を受けた年末残高証明書を、確定申告又は年末調整の際に、税務署又は勤務先に提出する方式
- 調書方式:債権者が税務署に「住宅取得資金に係る借入金等の年末残高等調書(以下、「年末残高調書」といいます。)」を提出し、国税当局から納税者に住宅ローンの「年末残高情報」を提供する方式
つまり、これまでは初年度の確定申告の後、税務署から控除適用年数分の枚数だけ証明書が事前に送付され、年末に金融機関から送付されてきた年末残高証明書を元に自分で計算を行って提出していた方式が証明書方式となります。
対して、金融機関が年末残高を税務署へ提出し、国税当局から控除額の計算が実施された状態の「年末残高情報」が提供される、というのが調書方式となります。(電話相談センター確認)
令和5年度はすべての金融機関が経過措置
調書方式の導入にあたり、各金融機関への負荷を考慮してシステム改修等への対応が困難な場合には、引き続き「証明書方式」とすることができる経過措置が設けられており、令和5年度は全ての金融機関で経過措置となったそうです。(電話相談センター確認)
令和6年度以降、「調書方式」への対応が完了した金融機関から順次移行が進むものと思われますが、年末調整という観点では令和7年度から影響を受けることとなります。(住宅ローン控除の初年度は確定申告であるためです)
なお、従来の「証明書方式」を取られている方が、途中から「調書方式」に変更となることはないそうです。
調書方式に対応した金融機関一覧
国税庁HPでは下記のページにて調書方式に対応した金融機関一覧が公開されています。
公表することに同意された金融機関のみが掲載されているとのことですので、同意されなかった金融機関がどれだけあるのか分かりませんが、この記事を書いている2024年7月24日時点では物凄く少ないですね。。。
参考:年末残高調書を用いた方式(調書方式)に対応した金融機関の一覧