概要
この記事では、所得税における「103万円の壁」の見直しを巡る、自民党、公明党、国民民主党の3党間の協議について解説します。 与党が税制改正大綱で123万円への引き上げを決定した一方、国民民主党が主張する178万円への引き上げを目指し、3党間で協議が継続されることになりました。 本記事では、各党の主張や今後の展望について詳しく見ていきましょう。
記事のポイント
- 「103万円の壁」とは:所得税の控除額に関わる制度で、年収が一定額を超えると税負担が増える仕組み。
- 3党間の合意:178万円を目指して控除額引き上げを目指すことで合意。
- 与党の税制改正大綱:控除額を123万円に引き上げることを決定。
- 国民民主党の主張:178万円への引き上げを強く主張。
- 今後の展望:3党間で協議を継続し、来年度予算案の成立までに結論を出す方針。
本文
「103万円の壁」とは?
「103万円の壁」とは、所得税における配偶者控除や扶養控除の適用に関わる年収の基準額のことです。 この壁を超えると、税金や社会保険料の負担が増えるため、就労を調整する要因となっていました。 この制度が、特にパートタイムで働く人々の就労意欲を阻害しているとの指摘があり、見直しが求められていました。
3党間の協議と現状
自民党、公明党、国民民主党の3党は、この「103万円の壁」の見直しについて協議を重ねてきました。 当初、3党間では「178万円を目指す」という合意がなされていましたが、与党である自民・公明両党は、税制改正大綱で控除額を123万円に引き上げることを決定しました。 これに対し、国民民主党は178万円への引き上げを強く主張し、3党間での協議が継続されることになりました。
各党の主張
自民党
自民党は、税制改正大綱を了承し、123万円への引き上げを決定しました。 しかし、国民民主党との協議を尊重し、「引き続き、真摯に協議を行っていく」としています。 森山幹事長は「来年度の予算編成を考えると、どうしても税制改正大綱は決めなければならない」と述べつつも、協議を継続する意思を示しました。
公明党
公明党も税制改正大綱を了承し、123万円への引き上げを決定しました。 西田幹事長は「控除額が123万円で何も変わらないことを協議するわけではない」と述べ、178万円を目指す協議を継続する姿勢を示しました。 また、「物価が上昇し、税負担を増やさないために控除額を引き上げなければならない」という認識を示しています。
国民民主党
国民民主党は、178万円への引き上げを強く主張しています。 榛葉幹事長は「3党の幹事長間の合意書に基づいて所得税の控除額が178万円まで近づくように再協議していきたい」と述べ、与党側が178万円に近づく数字を出す覚悟があるとの認識を示しました。 玉木代表は、「123万円というのは明確に3党の幹事長会談の合意に反した内容」と批判し、来年度予算案への賛成を拒否する姿勢を示しました。
今後の展望
3党は、来週24日に政務調査会長と税制調査会長が会談し、控除額の取り扱いについて協議を継続することで一致しました。 国民民主党は178万円への引き上げを強く求めており、与党側も「真摯に協議を行っていく」と述べていることから、今後の協議でどのような結論が出るのかが注目されます。
まとめ
「103万円の壁」の見直しは、多くの人々の生活に影響を与える重要なテーマです。 与党が123万円への引き上げを決めた一方で、国民民主党が178万円への引き上げを主張し、3党間の協議が継続されることになりました。 今後の協議で、国民の生活をより良くする結論が出ることを期待しましょう。
用語解説
- 所得税:個人の所得に対して課せられる税金。
- 配偶者控除:納税者に配偶者がいる場合に、一定の所得控除が受けられる制度。
- 扶養控除:納税者に扶養親族がいる場合に、一定の所得控除が受けられる制度。
- 税制改正大綱:政府が毎年末に発表する、次年度の税制改正に関する基本方針。
- 政務調査会長:各政党の政策立案を統括する役職。
- 税制調査会長:各政党の税制に関する政策立案を統括する役職。
- 年末調整:給与所得者が、その年の所得税を精算する手続き。
- 基礎控除:所得税を計算する際に、すべての納税者が受けられる控除。
- 給与所得控除:給与所得者が受けられる控除。
項目 | 現行 | 与党案 | 国民民主党の主張 |
---|---|---|---|
所得税控除額 | 103万円 | 123万円 | 178万円 |
特定扶養控除 | 103万円 | 150万円 | 150万円 |