例年通り、8月末に各省庁から税制改正要望が提出されています。
この記事では、こども家庭庁から提出されている要望を取り上げます。
令和6年度税制改正大綱からの引き続き事項
今回の要望には、令和6年度税制改正大綱にて挙げられていた扶養控除の見直し、他3点に、追加2点を加えた計6点となっています。
扶養控除の見直し(16~18歳の扶養控除及びひとり親控除) ※引用
児童手当については、所得制限が撤廃されるとともに、支給期間について高校生年代まで延長されることとなる。これを踏まえ、16 歳から 18 歳までの扶養控除について、15 歳以下の取扱いとのバランスを踏まえつつ、高校生年代は子育て世帯において教育費等の支出がかさむ時期であることに鑑み、現行の一般部分(国税 38 万円、地方税 33 万円)に代えて、かつて高校実質無償化に伴い廃止された特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分(国税 25 万円、地方税 12 万円)を復元し、高校生年代に支給される児童手当と合わせ、全ての子育て世帯に対する実質的な支援を拡充しつつ、所得階層間の支援の平準化を図ることを目指す。
ひとり親控除について、とりわけ困難な境遇に置かれているひとり親の自立支援を進める観点から、対象となるひとり親の所得要件について、現行の合計所得金額 500 万円以下を 1,000 万円以下に引き上げる。また、ひとり親の子育てにかかる負担の状況を踏まえ、ひとり親控除の所得税の控除額について、現行の 35 万円を 38 万円に引き上げる。合わせて、個人住民税の控除額について、現行の30万円を33万円に引き上げる。
子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充 ※引用
子育て世帯及び若者夫婦世帯における借入限度額について、子育て支援の観点からの上乗せを行う。具体的には、新築等の認定住宅については 500 万円、新築等のZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅については 1,000 万円の借入限度額の上乗せ措置を講ずる。
また、子育て世帯においては、住宅取得において駅近等の利便性がより重視されること等を踏まえ、新築住宅の床面積要件について合計所得金額 1,000 万円以下の者に限り 40 ㎡に緩和する。東日本大震災の被災者向け措置についても、同様に、子育て世帯及び若者夫婦世帯における借入限度額の上乗せ措置を講ずる。
また、新築住宅の床面積要件を緩和する。なお、所得税額から控除しきれない額については、現行制度と同じ控除限度額の範囲内で個人住民税額から控除する。この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。
子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充 ※引用
既存住宅のリフォームに係る特例措置について、子育て世代の居住環境の改善の観点から、子育て世帯及び若者夫婦世帯が行う一定の子育て対応改修工事を対象に加える。
子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充 ※引用
所得税において、生命保険料控除における新生命保険料に係る一般枠(遺族保障)について、23 歳未満の扶養親族を有する場合には、現行の4万円の適用限度額に対して2万円の上乗せ措置を講ずることとする。
結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の拡充・延長 ※引用
一括して子・孫への贈与を行った場合に、贈与税の非課税措置の対象となる費用として「乳児等通園支援事業」に係る費用を追加するなど非課税措置の要件を拡充し、また当該非課税措置を2年延長し、適用期限を令和9年3月31日までとする。
ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業の住宅支援資金貸付け等に係る非課税措置の延長 ※引用
ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業の住宅支援資金貸付けによる金銭の貸付けつき、当該貸付け(制度拡充分も含む)に係る債務の免除を受ける場合には、当該免除により受ける経済的な利益の価額については、引き続き所得税を非課税とする措置を講じる
児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業による金銭の貸付けにつき、当該貸付けに係る債務の免除を受ける場合には、当該免除により受ける経済的な利益の価額については、引き続き所得税を非課税とする措置を講じる。
参考
財務省:令和7年度税制改正要望 ⇒ 子ども家庭庁 要望事項全体版(PDF)